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IGLAニュース 法と行政 第325号 発行2000.5.16 発行、国際行政書士協会
当会 畑会長 LEC法律文化6月号にインタビュー記事掲載されましたので紹介いたします 事務局(山内)

  特別インタビュー

国際行政書士の未来
〜新しい行政書士像を求めて〜
社会・経済のグローバル化、規制緩和などの時代の大きな変化を受け、
行政書士の世界にも変化の波が押し寄せている。業務の国際化に向けた
取組みを行っている国際行政書士協会の会長・畑 光氏に新しい行政書士
の業務についてお聞きした。

PROFILE
はた あきら
昭和8年、兵庫県出身
現在、東京都行政書士会副会長
    日本行政書士政治連盟幹事長
昭和32年、行政書士資格取得。
昭和48年、開業
国際行政書士協会会長 畑 光氏


[国際行政書士協会(IGLA)]
綜合法務研究所が中心となって平成2年3月に設立。目的とするところは「国際法務、入国・在留手続、
企業法務、許認可手続等の調査、研究、研修を行い、行政書誌他位の向上を国際間の友好を促進し、
もっと国際平和に貢献すること」(国際行政書士協会定款)。
●活動内容
@業務研修・セミナー開催 AIGLAニュース・案内等のFAX一斉送信
B業務相談の実施 C実務修習生の受入実施
D研修資料の閲覧(会員のみ) E日本学術会議への参加

国際行政書士会の活動
―本格的なグローバル化の時代を迎えて、行政書士の業務も変わろうとしているようです。畑先生は会長を務められている国際行政書士協会はその変化に向けた取組みをされていますが、協会が設立された経緯はどのようなものだったのでしょうか?
 「11年前に入管法(「出入国管理及び難民認定法」)が改定されました。かつての入管行政というのは本人出頭が原則で、日本に在留する外国人が自ら入国管理事務所に出頭して、在留期間の更新や資格の変更などを行っていたのですが、その改正によって、行政書士による代理行為が認められるようになりました。申請取次行政書士(注1)といいますが、一定の要件をそなえる行政書士が申請を希望する本人に代わって、入管の書類を作成することで、本人出頭は免除することになったのです。その入管行政の改革と同時期に、帰化申請によって国籍を付与する需要が増えたこともあり、国際関係の業務を取り扱う行政書士に、高度な知識をつけさせ、資質を高めることを目的をして、平成2年にスタートしたのが国際行政書士協会です」
―協会では、どのような活動をされていますか?
 「主な活動に研修会の開催があります。毎月2回ずつのペースで開催してきまして、今年3月末までに合計241回の実績があります。国際的な問題を扱うために行政書士のレベルアップを図ることをメインの目的としていますが、より幅広い知識を深めていこうと、出入国管理法や国籍法をいった国際問題に限らず、一般の法律についても、大学の先生や官公庁の職員といった専門家をお招きして、年に何回か研修を実施しています。」
 現在、国際行政書士協会の会員は約120名で、全国に分布しています。国際行政書士協会の研修で勉強された方々が核となって、それぞれの地域の行政書士の知識を深める活動にも取り組んでいます」
―入管行政に関する仕事を中心にされている行政書士はどれくらい、いらっしゃいますか?
 「現在、申請取次行政書士は全国で約4000人になりました。日本行政書士会連合会の中に、申請取次行政書士管理委員会が設けられています。その委員は法務省を行政書士会からの6名で構成され、私はその副委員長を務めています。委員会は新しく申請取次行政書士になりたい人のために講習会を開催したり、申請取次の資格をもっている人に法令の改正などを逐次伝える研修会を実施しています」
―さまざまな国籍の方について仕事をするとき、国が異なれば、法律も異なるわけで、業務にはその難しさがあるのではないでしょうか?
 「確かに世界には180もの国や地域があり、それぞれの異なる法律が存在しますから、それを理解することは大変です。例えばイスラム諸国の方との婚姻は日本のように役所に届け出るだけでは成立しません。配偶者もイスラム教に改宗して、イスラム寺院で結婚式をあげます。あるいは女性が離婚した後、日本の法律では6ヶ月の再婚禁止期間が定められていますが、タイはそれが300日で、中国の民法にはその規定が無いほど、国によって法律は大きく異なり、その知識がなければ業務がスムーズに進みません。
 国ごとの法律が多様性も対応するため、今、行政書士は専門とする対象国ごとに細分化されつつあります。ドイツ法体系を得意にしているとか英米法体系だとか、中国を中心にしているといった専門化が進んでいるのです。また専門化することによって、顧客も増え、その国に関する情報も集まってくる効果もあります」
改正入管法の施行
―今年2月、改正入管法(注2)が施行されましたが、改正の趣旨はどのようなものだったのでしょうか?
 「在留外国人にとって大きな影響のある改正で、法律が施行された2月18日の直前には、外国人が1日に2000人という単位で東京入国管理法と施行令が施行されましたが、内容を簡単にいえば、厳しくするところはより厳しくして、認めるべきところについては門戸を広げるということです。出入国管理法の違反行為に不法侵入国罪があります。
不法に上陸したり、偽造パスポートで入国するような行為です。また不法就労という罪名があります。留学生としての在留目的で滞在許可をとりながら労働すれば不法就労にあたります。違反者に対しては退去強制という処置をとります。
 今回の改正で不法在留罪が新設され、不法に上陸して在留する行為そのものが処罰(3年以下の懲役若しくは禁錮刑若しくは30万円以下の罰金を併科する)の対象となりました。また不法在留(オーバーステイ)や不法入国によって退去強制になった後、一定期間、日本に入国させない処置をとりますが、その上陸拒否期間がこれまでの1年間から5年間に伸長されました。
 一方、改正によって緩和された面もあります。従来、正規に日本に在留する外国人から再入国許可申請があった時の許可の有効期間が、これまでの1年間から3年間になりました。これは画期的な改正だったと思います。
―出入国管理に関する行政書士の仕事はそのように変化しているのでしょうか?
 「日本人と外国人との婚姻に関する仕事、とくに在留特別許可の件数がかなり増えています。在留特別許可とは、その在留に違法性があっても、日本人と婚姻関係があり、人道上、退去強制させるに忍びないと認められれば、特別に在留の許可を出す制度です。あるいは正式な婚姻関係が無くても、外国人の女性で日本人の男性との間で妊娠したとき、胎児認知しておけば、生まれてくる子供は日本国籍になります。養育のことを考えて、滞在を認めようということになったわけです」
―今後、国際交流はさらに進むと思われますか?
 「さまざまな形で交流が広がっていくと思います。例えば昨年、ワーキングホリデー制度の対象国が増えました。この制度は外国の若い方に日本でアルバイトしながら旅行をしてもらおうというものです。対象国はカナダ、ニュージーランド、オーストラリアの3カ国でしたが、これにフランスと韓国が加わりました。これは国際交流の窓口の拡大として大きく位置づけられる制度だと思います。
 さらに日本政府は研修という部門でも、外国人の受け入れの幅を広げようとしています。農業研修などが対象となりますが、介護保険の開始にともない、介護に関わる研修で相当大規模な受入を考えているとの報道もあります。
 それらのことから見ても今後、行政書士が扱う入国関係の業務の件数が増えていくことは間違いないと思われます」
広がる国際ビジネスの業務
―経済のグローバル化は行政書士の業務にどのような影響を与えているのでしょう?
 「現在、国際ビジネスに関する業務がどんどん発生しています。私自身、去年から今年にかけてイタリアやオーストラリア、ドイツ、フランスなど、さまざまな国の企業から日本に進出する際の仕事を依頼されました。
 外国の企業が日本で活動するようになると、それにともなって、人、金、モノが日本国内に入ってきますが、そのとき、それぞれ行政的な手続きが必要になるわけです。人については一連の入国、在留手続きがふります。金が入ってくれば、外為法(外国為替及び外国貿易法)の定めがあり、大蔵省の届け出ます。モノについても、それぞれ事業目的を所管する省庁に届け出るわけで、そこに行政書士の仕事が生じるのです」
―国際ビジネスの業務を行う上で難しい点はどのようなことでしょうか?
 「外国企業が日本で現地法人を作るとき、設立手続きは日本法の有限会社法なり商法でできますが、外国の法律にしたがって設立された企業を日本にもってくるわけで、定款をひとつとっても当然、母国語で書かれています。それを見て、資本金はいくらかなど正確に読み取らなければ、ビジネスになりません。その国の法律についての知識とともに、語学力も必要になります。
 これまで国際行政書士協会の研修は、どちらかといえば入管関係の私法に比重が置いていましたが、国際商事法務についても、よりいっそうの研?が必要ということで、研修のテーマとして多くとりあげるようになっています。」
ワンストップサービスの実現
―外国企業が日本に進出する際、行政書士以外の士業の仕事も発生するわけですが、それについては、どのように対処されていますか?
 「例えば社会保険に加入する手続きがあります。日本企業であろうと外国企業であろうと、外国人を雇用すれば、雇用保険や労災、健康保険などに加入させなければなりません。ちなみに厚生年金は強制加入ですが、加入期間が25年に満たなくても、途中で帰国した場合、一時脱退金を支給するよう法令が改正されました。それらは社会保険労務士の仕事です。
 また、外国企業が日本支店を設置したり、日本で現地法人を設置すれば、税務署や府県税事務所、市区町村に届け出なければなりませんが、税理士などの仕事が発生します。
 外国企業の進出は法律専門職にとって相当大きなマーケットを生んでいるのです。
 今のところ、法的な手続きに関しては、入国に際しての仕事をする流れもあり、最初に行政書士のところに話が来るケースが多いのですが、行政書士だけは処理できない業務については他の専門職にお願いすることになります。税金に関する仕事については知り合いの税理士を紹介したり、社会保険は社会保険事務所に連れて行くということをしているのですが、『その手続きは行政書士、これは司法書士』といっても、外国の方にはなかなか理解できないわけです。『1ヶ所で済ませられないのか?』ということになる(笑)。現在、いわゆるワンストップサービスの必要性が唱えられるようになっていますが、ひとつの事務所に、さまざま専門家たちがそろっていて、そこですべての法律問題を解決できるというサービスは、時代のグローバル化という意味からも要因があるのです」
―ワンストップサービスの実現性について、どのようにご覧になっていますか?
 「政府にしても規制改革委員会がそのことを考えているようですし、私は近い将来、一人の法律専門家が事務所で頑張っていくという時代は終わりを告げ、何人かの法律専門職がグループを組み、さらに事務職を法人化して、ワンストップサービスを行う時代になると思います。
 そのような総合的な事務所はユーザーにとっての利便性という他にもメリットがあります。一人でひゃ事務所維持の経費は大きな負担になりますが、何人かが共同で維持するようになれば、固定経費をシェアできますから、報酬額を抑えることができるようになるはずです。またさまざまな専門家が議論しながら業務を推進することができるため、より質の良いサービスを提供できるようにもなるでしょう」
―業務の高度化ということでは、他の法律専門職との連携の他、行政書士同士でどのようなネットワークを組んでいくかということも重要ではないでしょうか?
 「行政書士が扱う仕事の分野はきわめて広範にわたりますが、得意な分野をもつことは絶対に必要なことです。その専門ごとに行政書士がネットワークを組むとこが不可欠な時代が来ると思います。入国管理についていえば、ひとつの行政書士事務所に何十人もの専門家をそろえるローファームのような組織を作る方法もあります。また自分の専門外の仕事の依頼が来たら、それを専門にしている行政書士に任せるという手段としても、ネットワークを上手に利用すべきです。
 さらに全国をカバーするような地域的なネットワークも必要です。最近、私が手掛けた例で、外国企業が京都に支店を設立したいという依頼がありました。すると、定款認証や払込銀行の決定、登記申請といった設立手続きや外国人を入れるための在留資格認定証明書を京都の入国管理局の出張所の出したりと、一連の手続きのために何回も京都に出張しなければなりません。コストがかかっても、気心の知れた行政書士に頼みたいというお客さんもいますが、できるだけ安くあげてほしいとなれば、京都の行政書士と連携して仕事をしたほうがいい。そのように業務を展開するには全国規模のネットワークが必要です」
士業の実際問題
―今、士業の規制緩和が論議されていますが、それについてどのようにお考えですか?
 「ご存知の通り、現在、士業間の垣根を低くして、相互乗り入れできる部分を増やしていこうという議論が行われているわけです。保田興治先生が会長をされている自民党の司法制度改革調査会には五つの小委員会がありますが、私はそのすべての小委員会の会合に出席しています。その会合で基本的に語られていることは、これまでの弁護士が弁護士法第72条で守られ、オールラウンドプレーヤーだったが、国民の利便性から考えれば、それを緩和すべきではないかということです。税金の紛糾は税理士、登記その他不動産の取引等は司法書士が、専門家として訴訟代理をできるようにするなどです」
―行政書士の方々は職域拡大について、どのような要望をされているのでしょうか?
 「ひとつは行政不服審査に関する仕事です。申請者に対して不利益な処分がなされた際、行政書士が本人に代わって審査請求や再審査請求、意義申立を担えるようにしていただきたいということ、もうひとつは30万円以下の小額訴訟事件を扱えるようにしていただきたいと意見を述べています」
―行政書士と他の士業間の業務問題ではどのような論議がありますか?
 「現在、弁護士法の全面改正が論議されています。弁理士はこれまで主に工業所有権4法、つまり特許権、実用新案権、意匠権、商標権に関する特許庁への申請をしていましたが、特許権に関する売買契約や譲渡といった民間同士の契約に関わる業務への参入を希望されています。また弁護士法第72条で、事件性のある法律行為を弁護士以外が扱うことは違反されていましたが、仲裁や和解、調停といった工場所有権法に関する裁判、あるいは裁判外の司法手続きの代理権を希望されているようです。
 行政書士としても、民民間の契約書の作成は行政書士法第1条(注2)が定める権利義務の書類の作成にあたるわけで、著作権等の売買、譲渡、使用契約などに関する業務をできるようにしていただきたいと考えています。これについては、いずれ弁理士と共に行うことになるのではないかと思っています。著作物には音楽や絵画、写真といった文化系のものと、限りなく工業所有権に近いものがありますが、後者の工業所有権に近い著作物は弁理士の方々がぜひ担いたいとされています。どのように住み分けるかについて今後、若干の問題も出じるでしょが、私としては弁理士、行政書士ともできるということで決着がつくのではないかと期待しています」
電子化への対応
―行政書士の業務における大きな変化のひとつとして情報化ということがあげられると思いますが、これについてはどのようにお考えでしょうか?
 「今、政府はいわゆる『電子政府』の構想を進めようとしています。これまでは許認可手続きというと、役所に書類を持ちこんでいたわけですが、インターネットやフロッピーディスクといった紙以外のものを通じて許認可業務その他の手続きを行うようにしていくことです。行政書士にとって、従来のように紙を1枚書いていくらというような仕事をする時代は完璧に過去のものになろうとしています。
 ネットでの申請を進めるにあたっての問題点はネット上で自らを行政書士であると証明することでしたが、行政書士の番号や氏名を登録しておく電子認証のシムテムができて、加入する行政書士も増えつつあります。行政書士としてもここ1〜2年の間に対応をとらなければ、時代についていけなくなると思います。
 日本行政書士会連合会の盛武会長は『バーチャルな世界』と言われていますが、私もそこを先取りすることは必要だと思います。少なくとも対地方公共団体の手続きについては完全に電子化の方向に進みますから、行政書士としても大いに研鑽を積まなければなりません。東京行政書士会も、行政書士がコンピュータに習熟するための講習会などを行っています。ただ私がひとつ強調しておきたいのは、電子化はあくまで手段であって、いくら業務が電子化されても、法律判断そのものは行政書士が行うというこです」
21世紀の行政書士像
―畑先生が考える21世紀の行政書士像は? またそのために求められる資質はどのようなものでしょうか?
 「実現可能かどうかは別として、私は『行政書士』という名称をリニューアルする必要があるのではないかと思っています。一時、司法書士が提案された『法務士』などです。『書士』という名称から、書類を書く専門家というイメージが定着しています。国会議員にもそういう傾向があります。私はこの1週間、毎日、国会に通って各政党の政調関係の代議士と会いましたが、官公署に対する書類の作成をする専門家という認識に止まって、民民の権利義務に関する書面作成については、あまり考えていらっしゃらないようです。『行政と国民をつなぐパイプ役』というキャッチフレーズもあり、役所に出す書類の専門家のようなとらえられ方をしていますが、本来、行政書士は書くだけでなく、法律判断を求められる仕事なのです。
 規制緩和によって、役所に提出する書面は減ることになる。あるいはフロッピーディスク1枚を送れば済むようになる。それにともなって、行政書士の業務では民民の契約が大きな分野を占めるようになるでしょう。官公庁に提出する書類は、あるいは定型的なフォームに書き込めばよかったかもしれないが、民民の権利義務の業務にウエイトを置かれるようになれば、書類ひとつ作成するにも相当高度な専門知識が要求されることになります。その際、行政書士の資格認定試験の科目も、今までのままでいいのか見直さなければならない時期に来ています。現在は行政手続き法や行政法を一生懸命やっていますが、時代の変化に応じて、民法の契約に関する部分や組織などについてしっかり勉強すべきだと思います」
注1 「申請取次行政書士」
  平成元年6月に行政書士の一部(法務大臣が適当と認める)が取次者として認められるようになった。
注2 「改正入管法」
  平成12年2月18日に施行された改正入管法の要点は以下の3点
  @不法在留罪の新設(第70条第2項関係)
  A非退去強制者に対する上陸許可期間の伸長(第5条第1項第9号関係)
  B再入国許可の有効期間の伸長(第26条第3項関係)
注3 「行政書士法第1条」
  行政書士法第1条第2項 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務  又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)を作成することを業とする。