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東京法経学院出版より、「激動する司法制度改革のなかで行政書士が勝ち得たもの」について、
東京都行政書士会 畑光副会長(日政連幹事長・IGLA会長)がインタビュー取材をうけ
「不動産法律セミナー」2001年11月号に掲載されましので一部分を紹介します。

激動する司法制度改革のなかで、「行政書士」が勝ち得たもの

●日本行政書士政治連盟 幹事長 畑 光
●ナビゲーター 行政書士 森山 潤
1.行政書士の代理権獲得について
森山 「行政書士の代理権獲得は、司法制度改革、規制緩和の流れの中で実現したわけですが、
まず、この法改正に至るまでをふり返って、その経緯をお聞かせください」
もともと、行政書士法はその1条の2において、「書類を作成することを業とする」と規定さ
れています。すなわち、書類を作成することを独占業務とするということが立法趣旨にあった
わけです。そして、昭和55年4月30日公布の「提出手続き代行権」と「書類作成相談業務」が
追加されました。いわゆるこの部分が「非独占」といわれるものです。そして、この非独占部
分の業務拡大が決定された時にも、行政書士に対する代理権の付与を訴えていました。
〈現行行政書士法1条の2【業務】〉
@ 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事
 実証明に関る書類を作成す右ことを業とする。
A 行政書士は、前項の書類であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されて
 いるものについては、業務を行うことができない。
 そういう経緯があり、一昨年(1999年)の弁理士法の改正が行われました。そもそも弁理士
業務は、特許庁に対して特許、実用新案、意匠、商標、について、書類を作成し、申請代理し、
特許庁でその権利が確定するまでのことが業務範囲とされていましたが、それに付随し、当該
特許が確定した後の実用新案をどのように民間に売買するか、使用許諾をどうするかという点
は弁理士法に規定されていませんでした。
 そこで弁理士業界には、特許確定後の民間売買までを業務範囲として取り込みたいという要
望が強く、法の大改正が行われたのです。
 同時に弁理士業界は、工業所有権の分野だけでなく、「知的財産権」の分野についても業務
範囲に加えたいと考えていました。例えば、著作権や種苗法等に規定されている品種改良等々
についても弁理士の業務範囲としたいと希望していたのです。
 そういう流れの中で、行政書士団体は、著作権関係の業務は行政書士の業務範囲でもあると
主張し、弁理士が著作権の範囲まで業務拡大を図るのであれば、行政書士も特許の分野まで業
務範囲を拡大したいとして意見の衝突が生じたのです。
 ただし、特許庁に対しての特許、実用新案、意匠、商標の書類を作成することは、弁理士の
独占業務なので、行政書士は口出しをしないが、民間の使用許諾や、特許権の売買は、行政書
士にもさせてほしいと、その代わり、弁理士も著作権関連について業務の拡大は結構(認めて
よい)という話がまとまりました。
 そして、弁理士法の改正に至り、あわせて行政書士法もその法1条の3について改正すると
いうことになったのです。
〈行政書士法1条の3〉
 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を
業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項
については、この限りではない。
@ 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出
 する手続について代理すること。
A 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人とし
 て作成すること。
B 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
こうしたことが契機となって、行政書士の代理権獲得が実現できたわけです。
森山 「次に法改正の具体的な内容について、特に行政書士法第1条の3第1号に規定されている
「官公署に提出する書類の提出手続代理」、いわゆる官民代理といわれるもの及び第2号に規定
されている「契約その他の書類の代理人としての作成」、いわゆる民民代理といわれるものの意
味するところにつきまして、弁護士法第72条との関連も含めましてお話を伺いたい」
まず弁護士法は、その第3条で「法律事務」が定められ、同法第72朱で「法律事件」の規定が
なされています。そこで規定されている「法律事務」と「法律事件」は、若干ニュアンスが違
うと考えますが、弁護士団体は、この2つの規定の意味するところは同じものであると今まで
は主張してきていました。すなわち、事件性の有無にかかわらず、弁護士以外が法律事務を行
うことを原則として禁じてきたのです。
〈弁護士法3条【弁護士の職務】〉
@ 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非記事件及
 び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立て事件に関する行為その他
 一般の法律事務を行うことを職務とする。
A 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。
〈弁護士法72条【非弁護士の法律事務の取扱等の禁止】〉
 弁護士でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非記事件及び審査請求、異議申立て、再審
査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しく
は和解その他法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋を業とすることができない。但し、この
法律に別段の定がある場合は、この限りでない。
 そのような背景のもと、今までは、弁護士法の2規定(3条、72条)について、弁理士会、
司法書士会等々の他士業においては、深く追及することなく業務を行ってきました。ところが、
先ほどの弁理士法を改正するにあたって、弁理士会が弁護士会に民民代理(民間の特許の使用
許諾や、特許権の売買等の業務拡大)あるいは知的財産権を扱うための業務拡大を認めてもら
うための働きかけをしている時に、行政書士会も弁理士団体に業務拡大を認めるのであれば、
それと関連を持つ行政書士にも認めてほしいと主張したのです。
 ところが問題になったのが、「事件の争訟性」ということです。日弁連は、この部分で当初
強硬な姿勢を示しており、司法書士の少額訴訟、弁理士の特許訴訟、税理士の税務訴訟につい
ては、柔軟な姿勢に転じましたが、行政書士、社労士等々の訴訟代理権獲得には、消極的でし
た。しかし、国民の立場に立って法律問題の処理というものを考えた場合、独占的ともいえる
弁護士の仕事のあり方が、われわれ庶民の抱える法律問題処理の需要をカバーしているとはい
えないのが現状です。
セミナー 「確かに、弁護士がすべての争訟性を持つ事件を抱え込むのではなく、本来、市民のた
めの法律家という観点にたって物事を判断するならば、ある程度業務を分散できるところは分
散し、他士業にも代理権を認めて国民の利用しやすい、かつ迅速な訴訟の解決が望まれている
と思います」
2.今後の行政書士の業務拡大と行政書士法の改正について
森山 「改正行政書士法の施行は2002年7月1日からですが、今後行政書士の業務のあり方は具体
的にどのように変わっていくのでしょうか?
 例えば、今度の臨時国会で、司法制度推進改革基本法というものを可決させ、内閣に行政改革
推進本部を設置します。そうして3年以内に司法制度改革のための法律制度を整備するという
計画で進みます。
 そこで、先の話にもでてきた弁護士法第72条の一部解放ともいうべき内容検討、あるいは裁
判所の裁判規定の変更、民事調停の仲介、仲裁、裁判外紛争(ADR)も変わってくると思い
ます。
 また、具体的実務内容につきましセも、いわゆるワンストップサービスの実現が可能になる
と思います。
 例えばワンストップサービスの具体的内容をお話ししますと、国内で外国の企業が設立され
る場合、設立の登記は司法書士、入団管理関係は行政書士、会社の税務申告は税理士、人を雇
った場合の雇用管理・保険関係の手続は社労士というように日本の土壌においては、会社を設
立するにあたって、様々な士業が絡み合って動きます。ユーザーにここはこれ、これが終わっ
たらその他士業の分野というようなやりかたでは、混乱もするし、時間もかかります。そこで、
窓口を1つにして、最初に相談を受けたところが、各専門士業に仕事を振り分けるほうが、混
乱なく時間もかからずに済むわけです。これがいわゆるワンストップサービスの定義と考えて
いただいてよいでしょう。
セミナー 「つまり、法律を扱う専門家として、特異性は持ちながらも、基磐の部分である程度土
壌を共有できる部分が必要だということですね」
そのとおりです。そういう意味でも、行政書土についても、代理権をもったうえで、資格の垣
根を外してよいところは、外すというようなことを、3年位をめどにきちんときめてほしいと
ころです。
3.業務拡大の展望と方向
セミナー 「今後、行政書士としての業務発展を考えるのであればその方向性はどこですか」
例えば、現在の主要業務の一環である官庁の仕事(各種申請手続等)はもちろんですが、今後
は民民の仕事(代理の業務)に力をいれていくべきでしょう。そのためには、行政書士一人一
人が業務に対する取り組みを新たにし、自己革新を図るべくさらなる学習、例えば、訴訟関係
や弁論能力、あるいはコンサルティング能力を高めていかなければならないと思います。
4.行政書士をめざす皆さんへ贈ることば
セミナー 「今後、行政書士を目指す方々にコメントを願います」
試験に合格して行政書士会に登録・入会すれば、直ちに行政書士業務は始められますが、国民
のニ−ズは多岐にわたっていますので、すぐに対応できるかどうかは分かりません。常に自ら
の資質向上のために「学ぶ」という気持ちと、依頼者のために最善を尽くすという精神を持た
ないと究極の信頼は得られません。「生涯勉強」の気持ちを忘れずに依頼者の立場にたった法
の正義を貰いてほしいものです。