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特集「司法制度改革と電子政府を語る」
 
ゲスト 衆議院議員 伊藤 達也氏
第2回目の対談は司法制度改革と電子政府について伊藤先生にインタビューした。(2004年2月6日)
聞き手 東京都行政書士会広報部部長  山内 常男

「ADRの基本的な理念をどう考えていくか」       (伊藤)

「司法ネットで行政書士を活用していただきたい」    (山内)

「研修制度の導入と行政書士法の改正でADRへの参加の実現を」(山内)
「具体的なニーズやどのような課題があるかの議論を進めたい」 (伊藤)
「裁判外紛争処理への参入」

山内 広報部では、関係諸団体や政治家の皆様など社会をリードする方々に行政書士制度を知っていただきたいということで、「PUENTE」を去年発行させてもらいました。今、日本行政書士会連合会では行政書士がADRへの参画ということで理事会で決議され、その中の議案として行政書士法の改正として「裁判外での紛争処置に関して調停または斡旋を行うこと、ただし他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項についてはこの限りでない」と。今度、司法ネットが各都道府県にできた場合に、どこが中心になって運営されるのでしょうか?行政書士は隣接法律職として司法ネットに参加したい。そこで
私たち行政書士をどのような方向で活用されていくのでしょうか?   


伊藤
 分かりました。まず、ADRのお話からさせていただきますが、これは司法制度改革推進本部で議論をさせていただいております。ADR検討会においては既にもう1月末までに28回の会議が開催され、その中で今一番ご関心の深い法曹以外の専門家の皆様方にどのようなかたちでADRというものを主宰していただき、あるいはその代理人等として皆様方の専門性というものをいかに活用していくのか、そうしたことを含めて具体的な論点について議論を進めているところであります。

 今年の11月までに、ADRに対する基本的な理念をどう考えていくのか、あるいは国、場合によっては地方公共団体、こうした公の部分の責務をどういうふうに考えていくのか。そして公正な手続き運営の確保やADR機関や調停人の責務をどのように考えていったらいいのか、時効中断や執行力の付与、こうしたものの整備をどういうふうに考えていくのか等々、非常に具体的な論点がいくつもあり、そうした論点についての検討を進め11月を目途に方向性を出していきたいというのが今の検討状況です。

 まず、基本的にいくつかの論点があって、ADRをどういうふうに考えていくのだと。やはり、基本的に法律にのっとって開催するものではなくて当事者の自主性あるいは多様性というものを重視していくと、そういう考え方というものを大切にすべきという議論がある一方、時効中断効や執行力を付与するにふさわしい適格性を見る必要があり、なんらかの国の関与が求められていくという考え方も一方で根強く、このバランスをどうとっていくのかというのが極めて大きな議論の論点になっている。そうした中で、隣接士業の皆様方の専門性というものをどう活用していくかということですが、ADRの主宰についても、いろいろな方々に主宰をしていただくという方向性で議論を進めているわけで、その中で専門家としての適格性をどう担保していくのか、そうした点を踏まえて今議論を進めているところです。


山内
 行政書士会もわれわれの能力的担保ということで、研修の義務付けがされました。去年から東京と行政書士会で日本行政書士会連合会も去年暮れに立ち上げ研修がスタートしました。ぜひとも、ADRへの参加する道筋を開いていただきたいと思います。


伊藤
 先生方が一番関心の深い代理人についても隣接法律職の皆様方に大きな役割を担っていただきたいという方向で議論が進められているわけですが、では具体的にどのようなニーズがあり、どのような課題があって、それにどういう専門的な知見を持ちながらある分野についてどういうかたちで担っていただくのがいいのか、まだそこの議論の収斂(しゅうれん)ができていない状況です。ここの議論をしっかり進めながら、この代理人の問題について先生方の専門性というものを活用しながらADRをしっかり機能できるようなかたちを作っていきたい、検討していきたいと考えています。

 
「公的個人認証に向けて」

山内 電子政府における公的個人認証などのオンライン化の進み具合は?


伊藤
 公的個人認証の制度は1月末にスタートしました。全体的な流れからすると、電子政府の基本的なオンラインの基盤というものが今年中にある程度のめどがついて、公的個人認証制度が1月末からスタートしたことによって、一部には3月からも例えばパスポートの申請とか、あるいは納税の電子申請についても一部の地域ですが、この春からスタートする所もあります。全国的な展開というものはこの春以降、来年度中に本格的に稼働していきます。


山内
 住基ネットとリンクされるのですね。


伊藤
 はい。住基ネットの議論の中で、やはり一番皆様方が不安に思われたのはセキュリティーの問題です。プライバシーの保護をしっかりしながらセキュリティーの対策をと。


山内
 「なりすまし」はこれからも起きるのではないかと。


伊藤
 ですので、そうしたセキュリティー面の対策というものを強化していく。しっかりした体制を作っていくことがやはり電子政府の一番大切なポイントです。そこに政府も力を入れて今後もしっかり取り組んでいきたい。


山内
 住基ネットで認証、あるいは病院のカルテなども相乗りするようなかたちですべてが入ると、便利なようで実は危険な面もあります。


伊藤
 それだけ便利さの裏側にはいろいろなリスクが付いているので、リスクを認識しながら、いわゆるIT技術が進んでいく社会というものを考えていかなければいけない。政府としては皆様方のご不安を少しでも払拭していくためのさまざまな取り組みというものをしっかり進めていかなければいけない。


山内
 しかし、自己判断や自己責任だけでは済まされないところもあります。


伊藤
 そうです。それだけにセキュリティーの技術も日本はありますから、常に先端の技術開発をして普及させていくのも重要です。今、導入されているシステム、あるいはこれから導入していくシステムについて常に評価をしながらセキュリティー的な視点からもやはり監査をして、間違いのない体制作りに努めていかなければいけないと思います。


山内
 今度はパスポートにしても顔がそのまま識別できるようになる。それも全面的にいつ頃実行されるのですか。


伊藤
 いろいろな議論のあるところで、認証についてはどういうかたちで確認するかというのは、技術が進んでさまざまな方法があり

ますよね。顔の骨格、あるいは目、手の指紋、いろいろなやり方の中で個人の間違いのない確認をしていくという技術開発が進んできております。これは人権との問題や、そうしたことに対する理解がないと、技術が進んだから何でもかんでも導入できるかというとそうではありません。国民の皆様方の理解を受けながらどうやってよりセキュリティー度の高い制度というものを取り入れていくのかということに、十分留意していかなければいけない。

 
「行政書士のビジネス支援」

山内 起業・創業支援策と行政書士のかかわり方、サポートの仕方についてお聞かせください。


伊藤 
この分野においてはやはり先生方の力というのは非常に大きなものがあります。今、日本の経済もようやく少し明るい兆しが見えて参りました。本格的に日本の経済が再生をして、日本全体が元気になっていくためには、中小企業が元気になり、あるいは新しいビジネスや新しい事業に挑戦していくという方々がたくさん増えて地域の中の活力になっていかなければ、本当の意味での日本の再生はないと。しかし、新しいものに挑戦をしていくには、いろいろな課題を乗り越えていかなければなりません。その中で行政書士の先生方は地域に根ざしてさまざまなネットワークをお持ちですし、いろいろな経験を積み重ねてこられて極めて高い専門性を持たれているわけです。そうした高い専門的な知識、あるいは今までのご経験、または地域に根ざすネットワークというものを遺憾なく発揮していただいて、創業とか、あるいは新しく起業していくという面において大きな役割を果たしていただきたい。


山内
 今、株式会社も資本金が1円でできますが、株式会社や有限会社の従来の最低資本金制度が今の時代になじまないような気がしますが。


伊藤 
やはりニュービジネスを振興しなければいけないという議論の中で必ず今の最低資本金の議論が出てきます。これは、過去にペーパーカンパニーが非常に多くて実際の実態とかなり乖離が起きてしまっていると。従って資本金を引き上げなければいけないという経緯があります。そのことによって、かなり実体のない法人というものが整理されてきたと思うのです。ですからそうした状況もよく踏まえ、より起業がしやすい環境を作るため最低資本金の問題をどうしていくのかというのは、極めて政治の大きな課題でもあります。


山内
 先程の1円会社ですが、従来の設立手続きよりも、もっとシステムを簡素化してもらいたいと思うのですが。


伊藤
 そこはぜひ具体的に、ここはこういうふうなかたちで直したほうがいいと、あるいは改善したほうがいいというご提案をいただくことができれば、ぜひそうしたことを踏まえて取り組みをしっかりやっていきたい。

 
「知的財産としての著作権」

山内 著作権の登録業務の分野への取り組みに東京都行政書士会も研修を行っております。今、インターネット上のソフトウエアの著作権の問題もいろいろ起きています。著作権登録などについてアドバイスを。

伊藤 著作権の問題も含めて、知財戦略が非常に重要ということで、小泉総理を本部長として知財戦略本部というものを立ち上げて、私もそこに毎回参加させていただいています。今、お話があったことも含めて、総合的な知財の戦略、またその戦略を推進していくための基盤整備、あるいはルール作り、体制の強化というものが非常に重要なので、その総合的な視点の中で一つ一つの問題をしっかり解決をしていきたいと思っているところです。


山内
 例えば、映画にしてもワンシーンをちょっと参考にしても、それだけでも著作権侵害・盗作とか言わ
れ、その線引きが難しいような気がします。


伊藤
 そうですね。あまり行き過ぎるといろいろ問題がありますし、また逆に権利の保護がきちんとできていないことによってさまざまな問題が今起きてしまっております。やっぱりそのバランスをしっかりとるということが重要なのだと思うのです。


伊藤
 著作権の第一発行日や、実名の登録とかのインターネットのシステムについても今、議論している所です。できるだけ電子政府も進めているところです。そうした申請登録についても同じようなルールの中に乗せるのが基本だ。今回、成立をさせた申請手続きのオンライン化法でも、これから出てくるものについては原則として電子化すると。今のお話に限らず新しい申請手続きについては基本的には電子化の方向でということです。


山内 
今、東京都行政書士会には3,800名近くの会員がおりまして、ホームページの開設の会員が凡そ全体の3パーセント。開設が少ないので今後推進というか、強調していかなければと思っています。


伊藤
 ぜひこれから電子政府、電子自治体が具体的に動き出してくるとインターネットを通じてさまざまな手続き申請をされる方々が増えてくる。そういった方々が電子政府をやるにあたって不安であれば専門の先生方にいろいろご相談に乗っていただきたいという気持ちも強くなると思います。やはりホームページを持たれるということは意義があることではないかと。ぜひ、そうした面も含めて皆様方の中で研修や啓蒙活動をしていただけたら非常にありがたい。

 
「金融政策や構造改革特区の動向は」

山内 ご専門の「経済構造改革」や「構造改革特区」ついてお聞かせ下さい。 


伊籐
 「構造改革なくして景気回復なし」として、政府一丸となって取り組んできた結果、成果が出始めております。昨年の春から本年にかけて3ヵ月平均で実質成長率2,22%と。これは昨年5月のイラク情勢以降の日米間における政治経済の友好関係による外国人投資家の日本株式市場の買いと、同時にデジタル家電算業の好景気をはじめとして企業の果敢な経営努力の結果だと思います。時代の要請に応える潜在需要を掘り起こすことが重要なのだと思う。構造改革が進めば景気が回復し、景気回復すればさらに構造改革が進むものです。            

さて、構造改革特区ですが、これは今、第四次の応募に対応していて、非常に多くの自治体の方々から構造改革特区への取り組みをしていただいているところです。政府としてはこれに併せて、今度は「地域再生本部」というものを立ち上げて、地域再生についての各自治体の方々から再生についての要望、あるいはアイデアを今政府に出していただいて、その第一次のとりまとめをしているところです。この構造改革特区と地域再生の二つを大きな要因として、地域からの構造改革の推進、地域からの再生に一生懸命取り組んでいきたいと思っているところです。


山内
 動産譲渡の登記制度の創設についていつごろそれが実現するのでしょうか。


伊藤 
はい。企業などが融資を受ける際に、在庫や機械設備などを動産を担保として活用できるように「動産譲渡登記制度」を創設するという中間試案が2月18日に発表され、パブリックコメント手続きが開始されて平成10年度中に、考案提出の予定です。さらにご意見ご質問等がございましたらご連絡くださ


山内
 今日はお忙しい中ありがとうございます。今年ともよろしくご指導をお願いいたします。

 
司法ネット

 全国に法律サービスの利用拠点を整備する仕組みとして構想されている、政府の「司法ネット」計画。この司法ネットの運営主体となる独立行政法人の名称が、「日本司法支援センター」となった。

※地域再生本部

 地域経済活性化と雇用創出を図るため、小泉首相が昨年十月、設置を指示。事務局の地域再生推進室が内閣官房に置かれた。推進プログラムは国から地方への権限委譲や規制緩和など百四十一件の支援措置が盛り込まれた。

※動産譲渡登記制度

 融資を受ける企業は、在庫や原材料などの動産を手元に残したまま、金融機関など貸し手に所有権を形式的に譲渡し、譲渡を登記する。登記所はそのことを公示する。借り手が融資を返済できなくなった場合、貸し手は動産を処分することができ、借り手は融資をすべて返済すれば、所有権を取り戻せる仕組み。


PROFILE 伊藤達也(いとう たつや)                    敬称略

昭和36年7月6日生まれ

昭和59年4月

慶応義塾大学法学部を卒業後、故松下幸之助氏の「政治を正さなければ、日本はよくならない」という思いに共鳴し(財)松下政経塾に5期生として入塾。

平成5年7月

第40回衆議院議員選挙で初当選。以後、連続3期当選。

平成12年7月

通商産業政務次官に就任し、IT政策と経済構造改革に取り組む。

平成13年1月以降

自由民主党経済産業部会長、e−Japan重点計画特命委員会事務局長、行政改革推進本部幹事など20以上の政策プロジェクトの責任者となるとともに、衆議院経済産業委員会筆頭理事、環境委員会理事、憲法調査会委員会等を歴任する。

現在、内閣府副大臣(金融担当)となり、日本経済再生と金融の安定化に向けて奮闘。

著書(共著)

『永田町からの政治論』(PHP研究所)
『21世紀・日本の繁栄譜』(PHP研究所)

『日本のモノづくり論点52』(日本プラントメンテナンス協会)